メッシーに助けられたバルセロナ

初戦、パナシナイコスに3−0と勝利したウディネーゼ
それだけにこの試合も、
リーグで苦戦を強いられているバルセロナ相手に
どこまでやれるかが最大の焦点となった。

スタメン

バルセロナ:布陣は変わらないものの、攻撃的な選手を起用。
GKビクトル・バルデス
DFは左からジオ、オレゲール、プジョルベレッチ
MFはボランチにシャビが入り、左にデコ、右にファン・ボメル
FWは左からロナウジーニョエトー、メッシー
ウディネーゼ:エース、イアキンタがチームと契約上のトラブルで欠場。
それ以外はベストメンバー。
ちなみに布陣はいつもの3−5−2。

試合の流れ

予想通り、バルサがボールを支配する。
支配率でいえば60%ほど。
60%といえば、ほとんどボールをキープしているほどの数値である。
とはいえこれはウディネーゼの狙い通り。
前線から積極的にプレスをかけ、ボールを前へ運ばせない。
実際、バルサは球回しに苦労する。
中盤でくさびを受けるのがやっとといったぐらいで
なかなか相手ゴールに近づけない。
また、ウディネーゼはボールを奪ってからの押し上げが早く、
両SHも思い切って攻撃に参加する。
そのため、バルサがボールを持たれ、
あわよくばカウンターを食らいかねない、といったこう着状態に。
 
そんな嫌な雰囲気を吹き飛ばしたのが、
若干18歳のメッシー。
相手が思い切って攻撃に上がってきたところでボールをカットし、
センターライン手前からドリブルで持ち込む。
最後はゴール前で相手にファウルで止められるも
絶好のポジションでFKを獲得。
これをロナウジーニョがゴール右に流し込みゴール。
ウディネーゼムードの中、バルサが先制点を奪う。
 
しかし、その後も試合の流れは変わらず。
ウディネーゼがいい位置でボールを奪い、バルサを押し込む。
そして、失点からわずか10分でCKからのゴール。
あっという間に同点に追いつく。
このまま逆転も狙えるかという流れとなるが、
はたまたメッシーが好プレー。
相手DFがボールを回しているところをカット、
すかさずカウンターに移りサイドに開いたエトーへパス。
最後は走りこんだロナウジーニョが決めて2−1。
一瞬の隙を逃さない、見事な攻めであった。
さらに前半終了間際には、
デコがドリブルで持ち込みファウルを誘う。
このFKは、またロナウジーニョが行くと見せかけてデコがシュート。
これが見事に決まり気が付けば3−1に。
バルサは流れが悪い中で2点のリードを奪ってしまった。
そして試合は後半へ。
 
後半も、ウディネーゼの戦術は変わらず。
しかしここで、思わぬアクシデントが起きてしまう。
というのも、開始早々ヴィヂガルがこの日2枚目のイエローで退場。
10人での戦いを余儀なくされる。
なお、このイエローを誘ったのもメッシー。
ゴール前でスルーパスを受けようとしたところを倒されたのだ。
試合はこの退場で落ち着いてしまった。
というのもバルサが安全運転に入ったからだ。
数的有利を生かしセーフティーにボールを回す。
さらに時間が経つにつれ、主力選手を交代させるほど。
ウディネーゼもなんとか攻勢に出ようとするが、攻撃は枚数が足りず迫力不足。
最後は運動量が落ち、バルサにいいようにされる。
そしてロナウジーニョにPKを献上し、
4−1となったところで試合終了。

マン・オブ・ザ・マッチ

メッシー
→ボールタッチはさほど多くないまでも、決定的な仕事を何度も果たした。

総括

終わってみれば4−1。
結果だけ見てしまえばバルサの圧勝に感じるが
試合内容はそうでもなかった。
むしろ、思い通りの試合運びができたのはウディネーゼであろう。
前線からの積極的な守備で相手に思うようなパス回しをさせず、
奪ってからの攻撃は切り替えがスムーズ。
バルサは前線に多くの人員を配すため、
守備ではDFラインの前や逆サイド、もしくはDFラインの裏の
いずれかにスペースが生まれてしまっていたが、そこを見事に突いていた。
まさにゲームプランだったのではなかろうか。
それだけに、イアキンタの不在は痛かった。
彼がいたならば攻撃に凄みが出ていたのは間違いないだろうし、
ウディネーゼが先行する形となれば試合の展開も変わってきたはずだ。
怪我や出場停止ならまだしも、
契約更新のトラブルで試合に出場できないのはあまりに残念である。
とはいえまだまだ序盤なだけに、今後が楽しみなチームといえそうだ。
 
一方のバルセロナ
リーガでは苦戦続きと聞いていたが、
それも納得の試合内容であった。
まず、いつものパス回しが全然できていない。
中盤でタメができないからSBが高い位置を取れず、
これがさらに味方のパスコースを限定してしまうという悪循環。
もちろん、ウディネーゼの守備も最初から飛ばし気味でよかったのだが、
好調のバルセロナならかいくぐれてもいいはず。
それができなかったのには、
FWの運動量の少なさ、
ファン・ボメルがまだチームに完全にはフィットしていないことが挙げられる。
その証拠に、前線へのくさびは少なかったし、
ファン・ボメルが消えている場面も多かった。
前者への対処法としては、
なんといってもエトーを休ませること。
というのも、この日のエトーは明らかに疲れからのミスが多かった。
ベティス戦でロナウジーニョとデコを休ませてはいるが、
本当に休みが必要なのは彼であろう。
マキシ・ロペスもいることだし、
ここは思い切って休ませてもらいたい。
また、後者への対処法だが、
しばらくは我慢して使うしかなさそうだ。
彼もそれなりの経歴を持っているのだし、順応性は高いであろう。
現時点では、デコ、シャビ、マルケスの組み合わせがベストといえる。
なお、メッシーは無事スペイン国籍取得し、
今週末から早くもリーガに出場できる見込み。
彼のドリブルはかなりのもの。
また楽しみな戦力が加わった。
 
結果だけ見れば、
バルサはここまで順調に2連勝。
リーガもまだ始まって間もないだけに、
早いうちにターンオーバー制の確立が求められる。
というのも現在、最大の敵は疲労だと思うから。