ナビスコカップ決勝 -ジェフ千葉vsガンバ大阪-

 

レポを始める前に

家ではよくメモをとりながら見るのですが、
今回は初めて会場でやってみました。
行きがけにクリップを買ったというほど、思いつきでの行動。
やってみると意外とすんなりできました。
それに試合を見るに当たっても頭の整理ができてよかったです。
というわけでいつも通り、メモを元に書いていきます。
なお、昨日取ったメモは
近いうちに「私のサッカー観戦方法」とでも題して紹介したいと思います。
興味のある方はご覧ください。
前座が少々長くなってしまいましたが、それではレポを始めたいと思います。

スタメン

フォーメーションだけ簡単に。
ジェフ:3−5−2
    ただし中盤の中央はチェルシー型。
    1ボランチには阿部が入る。
ガンバ:3−5−2
    こちらはいつも通りのポジション。
    中盤もダブルボランチ

試合の流れ

今回はその名の通り、流れを重視しての紹介。

前半

ボール支配率はおそらく6:4ぐらいでジェフ。
それぐらいガンバは慎重な立ち上がりで、完全に守備から入っていた。
また、やや抑え気味なプレー。
そのため攻めでも思い切った押し上げは見られず。
対するジェフも、どちらかというと持たされている感じ。
ボールを回してはいるものの、相手を脅かすほどの攻めは見せられず。
両チームともに見せ場が少ないまま、前半は終了。

後半

前半抑え気味だったガンバが、積極的に出てくる。
一方、前半から積極的に動いていたジェフは徐々に疲労の色を隠せず。
流れも徐々にガンバへと傾く。
しかし、いい流れの中でガンバが決めきれず次第にペースダウン。
宮本投入を機にガンバDFラインは不安定となり、流れは逆にジェフへ。
しかしジェフも決めきれず後半も終了。

延長前後半

選手は休憩でリフレッシュしており、
試合の流れもリスタートに。
一人元気なのが目立つ大黒により、ガンバペースに。
しかしパスの出しどころが疲れており、いいパスは配給されず。
最終盤、吉原まで投入してガンバが攻めるも決めきれずPKへ。

PK

試合中、多くのシュートを受けていたジェフGK立石はすんなり入る。
一方、ほとんど危ないシュートを受けなかった
ガンバGK藤ヶ谷はペースをつかめず。
また、ガンバは押しながら攻め切れなかった流れをなんとなく引きずっていた。
そして結果はご存知の通り。

マン・オブ・ザ・マッチ

ストヤノフ
→守備でのカバーリングの高さはもちろん、
 攻撃の組み立てでもキープ力の高さを生かしチームに落ち着きをもたらした。
 攻守に渡りその存在感はひときわ際立っていた。

その他の目立った選手

シジクレイ
→巻の高さを完全に封じる。他にもいいカバーを何度も披露。
大黒
→DFの裏を狙う動きは見事。それだけにパスが来なかったのは残念。
阿部
→攻撃での組み立てはもちろん、
 それ以上に守備でのポジショニングのよさ、球際のしつこさなどが目を引いた。

総括

一言でいうと

両チームのディフェンス陣がよく耐えた試合であった。

勝ちゲームを落としたガンバ

ジェフの優勝は見事であったが、
正直、ガンバが勝てる試合をみすみす逃してしまったと感じた。
というのも、ジェフもシュート数こそ11本に上るが
相手を崩せていた場面はほとんどなし。
後半途中で早くも1ボランチの阿部が足をつってからは
もう中盤はスカスカ状態。
さらには大黒も相手の裏を取る見事な動きを見せていただけに
付け入る隙は大いにあった。
だが、勝てなかった。

弱気だった西野采配

敗因はいろいろと考えられるが、
最大のポイントは西野監督の采配であろう。
端的に言ってしまえば、失点を恐れた弱気なものであった。
スタメンは妥当といえる。
一発勝負であるだけに、ある程度守備的に入るのも納得。
しかし、その後の選手交代がいただけない。
 
最初の交代は後半の終盤、サイドの松下が疲れていたのを見て宮本を投入。
この交代は分かるのだが、宮本の入ったポジションがいけなかった。
ジェフの攻撃は
縦への速さではなくセンタリングからの高さ勝負で来ていたが、
シジクレイが制空権を制しており、さらにはいいカバーも見せていた。
そのシジクレイボランチへ上げ、宮本をDFライン中央に配してしまったのだ。
確かに宮本の跳躍力はかなりのものがあったが
それにしても当たりの強さではシジクレイのほうが圧倒的に上だし、
それ以上に試合中にDFラインの中央を変えるというのは危ないもの。
果たして、ガンバのDFラインは不安定に。
後半終了間際にファウルで取り消された巻のゴールも、
実は宮本が裏を取られていたものであり
シジクレイであればそもそも弾き返していたであろう。
中盤が空いていたことも考えれば、
シジクレイよりは途中出場で動けるであろう宮本をボランチに配し
効果的なフィードをさせたほうがよかったはずだ。
現に大黒がいい動きをしていただけになおさら残念でならない。
 
次の交代はDFの入江を左サイドに投入。
これは左サイドを途中出場のジェフ水野に突かれ起点とされていたことを思うに
適切なものであった。
 
最後の交代は延長後半早々、
またまた疲れていた右サイドの橋本に代えFWの吉原を投入。
3−5−2というフォーメーションを取っている以上、
サイドの選手が疲れてしまうのはやむをえないのだろう。
両チームの交代や、また必要とされる運動量を見ていてあらためて実感した。
とはいえこの交代にも納得がいかなかった。
というのも、
ジェフにとっての左サイドは坂本。
前半の段階で見えていたのだが、
坂本は守備時のポジショニングが非常にあいまい。
具体的に言えば、
目の前の選手にプレスするでもなく、かといって裏のスペースをケアするのでもなく。
要するにガンバにとっては狙いどころだったのである。
が、ここをガンバが突ききれなかった。
延長になり、ガンバはすぐに手詰まり感が出てきたが
このタイミングで思い切って吉原を投入すべきであった。
確かにディフェンス面に不安はあるが、
坂本はドリブルで切り込んでくるタイプでもないし
センタリングの精度にも欠く。
だから恐れることなく、早々に手を打って欲しかった。
特にフェルナンジーニョアラウージョが疲れ、
サイドのスペースを使えなくなっていただけに
フレッシュな吉原の投入は相手DFを横に広げさせるという意味でも
効果的だったはずだ。
 
結果的にガンバは攻め切れない、という嫌な流れのまま延長戦を終了。
この流れがPK戦に影響していたように感じた。

見事にガンバ攻撃陣を分断したジェフ守備陣

この試合、ジェフ守備陣は
ガンバの大黒、アラウージョフェルナンジーニョの3人をうまく分断できていた。
驚くべきことに、
大黒には斎藤を、アラウージョには結城をそれぞれマンマークさせる。
さらにフェルナンジーニョは阿部が見るという徹底ぶり。
おまけにカバーリングにすぐれたストヤノフが中央にいるとあって
ほとんど孤立させていた。
それでもラインディフェンスでないだけに
裏を取られかけた場面もあったが、ここはなんとかGK立石がセーブ。
配給役のフェルナンジーニョが延長に入る頃には疲れ切っていたこともあり、
試合を通じて抑えることができた。
ここまでマンマークが機能した理由は以下の2点。
?ストヤノフカバーリングが見事であった。
?マーカーの2人が運動量豊富であった。
このいずれを欠いても、マンマークのディフェンスは成り立たないであろう。
逆にこのディフェンス方法が
個人技主体でなおかつ2トップのガンバには向いていたともいえる。
もちろんこの守備方法を採用したオシムを称えるのは言うまでもない。

シジクレイにうまく抑えられたジェフ

一方、この日のジェフ攻撃陣は機能していなかった。
試合を見た方は思い出してもらいたい。
試合中、巻がポストプレーをこなしたのは何度あっただろうか。
中盤の中央では誰がプレーしたであろうか。
どちらもなかなか思い出せないのではないだろうか。
 
この日のジェフの攻撃は、
DFラインで回し、相手のプレスを受けると
空いている(パスを受けられる)サイドの選手に出すというもの。
しかし、中央で作ってたり、誰かがタメを作ったりしてからの展開ではないため、
すぐガンバ行く手を阻まれてしまう。
そして苦し紛れのセンタリングを上げるも
精度は低く、全てシジクレイに跳ね返されていた。
試合が進み運動量が落ちるにつれ、状況はさらに悪化。
それとともに、試合の流れも自ずとガンバへと傾いていったのである。

チームを次々とリフレッシュさせた交代選手

オシム監督の選手交代はタイミングといい交代選手といい、
圧巻であった。
流れが悪くなったときに必要な選手を投入する。
当たり前のようであり、そう簡単にいくことではない。
それをなにげなく実践してしまうのにはさすがの一言。
 
簡単に言うならば、疲れた選手を交代させていた。
さらにフレッシュな選手を軸とした攻撃を展開させていた。
だからこそ、ガンバに傾きかけていた流れをなんとか押し戻すことができたし、
おかげでディフェンス陣の体力も120分持続することができた。

終わりに

双方ともに資力を尽くした決勝戦
結果はジェフが見事に初タイトルを物にしたのであるが、
今後のJリーグはどうなるであろう。
緊張していると疲れやすいというが、
それにしても両チームともに後半途中から明らかに疲労を感じた。
来週は水曜に天皇杯もあるという過密日程。
特に危惧されるのがガンバのフェルナンジーニョ
試合最終盤で負傷退場したが、
最近のガンバの不振はフェルナンジーニョ疲労にあるのではなかろうか。
ガンバの試合を見ていないだけになんともいえないのだが、そう感じた。
いくら大黒がいい動きをしているからといっても、
実はガンバでトップ下ができるのはフェルナンジーニョのみ。
少なくとも足がつっていたことを思うに、疲労は相当なもの。
今後の試合に影を落としそうである。
 
疲労という意味ではジェフも一緒。
こちらは個人で打開できる能力のある選手が少ないだけに
相当きついと思われる。
だが、そうはいっても上位のチームはたいていが疲れている。
そういう意味では代表のいないセレッソがやや有利か。
もしくは経験のある鹿島が行ってしまうのか。
はたまた浦和か。
いずれにせよ、目が離せない試合が続くことは間違いあるまい。